軍裏@ふたば
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画像ファイル名:1747096881842.jpg-(40904 B)
40904 B無題Name名無し25/05/13(火)09:41:21 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565375+ 8月18日頃消えます
本日は愛犬の日らしいですよ?
というわけで古今東西軍犬スレ
削除された記事が1件あります.見る
1無題Name名無し 25/05/13(火)09:43:00 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565376+
    1747096980400.jpg-(38230 B)
38230 B
時に愛らしく時に猛々しい毛むくじゃらの戦友たちについて
思う存分語ってどうぞ!
2無題Name名無し 25/05/13(火)12:03:32 IP:106.128.*(au-net.ne.jp)No.565382+
犬鍋美味しい
3無題Name名無し 25/05/13(火)17:48:22 IP:221.171.*(mesh.ad.jp)No.565387そうだねx6
    1747126102017.jpg-(589113 B)
589113 B
昭和30年代に講談社刊の「少年クラブ」に連載されていたまんが
「ロボット三等兵」に、「地雷さがし」なる話があるんですが、
主人公のロボット三等兵の地雷捜索の相棒になるのが軍用犬でし
たり

「地雷をいぬでさがすとはふるくさいやりかただね」なんていう
のが三等兵君の劇中のセリフなんですが、現在進行中のウクライ
ナ紛争でも普通に地雷捜索犬は使われていて、しかも大いに役立っ
ている…なんて聞かれたら、作者の前谷惟光せンせいなどはどう
いう風に思われたですかしら
4無題Name名無し 25/05/13(火)17:49:29 IP:221.171.*(mesh.ad.jp)No.565388そうだねx6
    1747126169291.png-(914987 B)
914987 B
因みにでは実際の当時のIJAの「地雷捜索犬」の働きぶりはどんな
ものだったのかな…と調べてみましたら、昭和17年12月出版の帝國
軍用犬協會機関誌「軍用犬」の記事に、中国大陸戦線で活躍して表
彰された軍犬「敏號」なる犬君の話が出てきまして、曰く

「●●(※検閲)討伐に参加し地雷捜索犬として、敵弾下に其の體を
現わし黙々として命ずるが儘に敵弾雨飛の中を最先頭にありて埋没
地雷の捜索に任じ部隊の行動を容易ならしめその任務を達成せり」

…等、「剛膽」な気質と優秀な嗅覚、忠順な気性を存分に活かして
大いに部隊に貢献していたとのこと
5無題Name名無し 25/05/13(火)17:50:34 IP:221.171.*(mesh.ad.jp)No.565389そうだねx6
    1747126234670.png-(913365 B)
913365 B
同記事によれば「敏號」君は牡のシェパードで、地雷捜索だけでな
く歩哨犬としても活躍、時には逃亡する便衣兵を追跡して拳銃を持
つ相手と格闘、遂にそのき●たまを嚙み潰して戦意喪失させこれを
捕らえる…なんて武勇伝も残しているそうなんですが、逆に言うと
当時のIJAの「地雷捜索犬」はその任務に特化した犬が養成されてい
たわけではなく、一般的な軍犬養成過程の中で訓練されるスキルの
一つであった、ということなんでしょかね(「敏號」君が特に優秀な
マルチワーカーだった可能性もありますが)

余談ですが前述のまんがのオチは犬君が主人公の三等兵君より優秀
な働きぶりを示して上等兵に昇進、逆に三等兵君が犬君に使われる
羽目になる…というものなんですが、現実でも将来地雷探索ドロー
ンなどが本格的に導入されても、案外結局犬の方が使い勝手がいい
じゃない?なんてことになったりは…しないでしょかねw
6無題Name名無し 25/05/14(水)11:36:36 IP:153.169.*(ocn.ne.jp)No.565397そうだねx1
    1747190196521.jpg-(157231 B)
157231 B
警備犬(退役犬)の売払い
当時も話題になってたかな
7無題Name名無し 25/05/14(水)11:37:10 IP:153.169.*(ocn.ne.jp)No.565398そうだねx1
    1747190230648.jpg-(63607 B)
63607 B
誓約書
8無題Name名無し 25/05/14(水)11:44:48 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565399+
部隊のマスコットとかでもちゃんと階級もらっている例は結構あるよね
ちゃんと昇進することもあるとか・・・
9無題Name名無し 25/05/14(水)11:47:40 IP:153.169.*(ocn.ne.jp)No.565400そうだねx1
    1747190860093.jpg-(170720 B)
170720 B
アンジェラ号
10無題Name名無し 25/05/14(水)18:29:45 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565405そうだねx5
    1747214985173.jpg-(51725 B)
51725 B
>当時のIJAの「地雷捜索犬」はその任務に特化した犬が養成されていたわけではなく
関東軍の地雷探知犬については、昭和16年頃から記録が現れます。満州事変直後から鉄道巡察に軍犬を用いていたため、その過程で鉄路に仕掛けられた爆発物捜索へ発展したのかも。
満州501部隊(関東軍軍犬育成所)の回顧録にも地雷探知犬が登場するものの、まだ当時の研究レポートは見つけていません。
画像は満州事変直後の鉄道巡察風景
11無題Name名無し 25/05/14(水)18:32:28 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565406そうだねx5
    1747215148122.jpg-(80199 B)
80199 B
もしかして日本陸軍士官学校出身の黄瀛がらみで中国軍から地雷探知犬の訓練法が伝わった可能性は?というと、南京で特種通信隊を率いる黄瀛は伝令犬と伝書鳩の訓練のみに注力していました。
黄瀛の副官は青島公安局で阿片捜索犬を運用していた経験があり、その技術は爆発物探知にも応用可能な筈だったのですが。
上海犬界は展覧会用のショードッグが中心で、軍事分野とは無縁でした。
そんな感じで中国経由の可能性もありません。太平洋戦争では米軍も地雷探知犬を用いていますが、技術的なルーツはやっぱりドイツかなあ。
12無題Name名無し 25/05/14(水)18:37:39 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565407そうだねx5
    1747215459746.jpg-(162871 B)
162871 B
満州国から日本に目を向けると、歩兵学校軍犬育成所のマニュアルに「埋設物捜索訓練」が追加されるのも昭和16年から。それが民間へ普及するのは昭和18年で、帝国軍用犬協会(軍事組織ではなく民間ペットの登録団体)の訓練競技課目に「地雷發掘作業」が加えられます。
もっとも、地雷探知犬の訓練法を日本へ伝えたのは帝国軍用犬協会ではなく日本シェパード犬協会でした。
それを辿ると、日本の地雷探知犬は満鉄が発祥であると思われます。ドッグレース事業に熱中していた満州国犬界ですが、地雷探知犬や阿片捜索犬など先進的な研究にも取り組んでいました。
13無題Name名無し 25/05/14(水)18:41:02 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565408そうだねx6
    1747215662228.jpg-(140323 B)
140323 B
抗日ゲリラに悩む満鉄グループでは鉄道警備犬を配備しており、その過程で鉄路に仕掛けられた爆発物の捜索能力を得たようです。
「ここ掘れワンワン」などと地雷探知犬の手柄話を伝える関東軍とは異なり、満鉄グループの地雷探知犬ハンドラーは「掘ったら爆発するので、地雷を発見したらその場で待機」など詳細な訓練方法を日本シェパード犬協会へ投稿していました。
満鉄警戒犬にとっては列車事故の方が脅威だったようですが、地雷の犠牲になった軍犬の記録もあります。……などと軍板に書き込んだら「犬の体重くらいで起爆するのか?」とレスがあり、答えに窮した16年前(そのあと中国軍の地雷戦についてのやり取りを感心しながら眺めておりました)。
気になって確認したら、手動起爆式の地雷による被害だったとのことです。
画像は満鉄グループの地雷探知犬訓練
14無題Name名無し 25/05/15(木)10:49:24 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565424そうだねx3
トラップ仕掛ける側からしたらそりゃ邪魔な存在だわよね
戦闘中も見つかったら狙撃されそう・・・
15無題Name名無し 25/05/17(土)19:20:28 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565461そうだねx1
>戦闘中も見つかったら狙撃されそう・・・
狙われやすかったのは伝令犬で、決まった補助臭気線(陣地間に臭気剤で構築された伝令ルート)を往復するために犠牲が続出していたとか。
携帯無線が普及していた米軍は早期に伝令犬を廃止しますが、そうはいかない日本は昭和30年代まで伝令犬訓練を続けていました。
画像は昭和30年代の陸自警備犬
16無題Name名無し 25/05/17(土)19:21:16 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565462そうだねx2
    1747477276847.jpg-(189291 B)
189291 B
画像を忘れた
17無題Name名無し 25/05/17(土)20:26:14 IP:122.212.*(ucom.ne.jp)No.565467そうだねx1
    1747481174343.jpg-(94670 B)
94670 B
>No.565408
普通の革靴ではなく帆布も使っているように見えますが
海軍の運動用艦内靴っぽいけど紐のあたりがちょっと違うかな?
18無題Name名無し 25/05/19(月)15:43:38 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565527そうだねx4
    1747637018153.png-(919113 B)
919113 B
>部隊のマスコットとかでもちゃんと階級もらっている例は結構あるよね
>ちゃんと昇進することもあるとか・・・
昭和50年代に航空自衛隊に入隊した池田孝子さんという方の手記に、名古
屋の小牧基地内の送信所で勤務した際の話が出てくるんですが、曰く

「車のドアを開けると、犬の吠える声が聞こえる。見ると、駐車した所の
奥に金網が張りめぐらしてあり、その中に数頭のシェパードが走り回って
いた」

…そうなんですが、案内役の班長さんがさっくばらんに説明してくれた内
容は

「あの犬はよ、ただの犬じゃねーんだぜ、お犬様なんだ。自衛隊っていう
のはよ、何にでもランクをつけるのが好きなんだけどよ、あの犬は、お前
ら隊員で言えば、どの階級だと思うだ?」
19無題Name名無し 25/05/19(月)15:44:43 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565528そうだねx6
    1747637083748.png-(877314 B)
877314 B
「なんと三曹扱いだぜ、この送信所にだって三曹より上の勤務者は二人し
かいねえんだ、どうだ、たいしたモンだろう、あの犬どもは三等空曹だぁ
ーっとくらあ!」

…というものだったそうですw

「考えてみると、私は7年も勤めてついに三曹になれなかったので、この
シェパードより劣るということなのだ。自衛隊は警察より、もうひとつ実
弾の使用にうるさいところなので、基地内に侵入者などがあった場合、や
たらに発砲せず穏便につかまえるため、歩哨犬が飼われているのであった」

「その待遇は三曹並みで、それは当然と言えるだろう。走らせれば人間よ
り速いし、鼻はきくし、嚙まれれば大ケガである」
20無題Name名無し 25/05/19(月)15:45:48 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565529そうだねx4
    1747637148233.png-(1956674 B)
1956674 B
…というのが池田氏の述懐なんですが、空自の警備犬=三等空曹というの
は当時の定番ネタであったらしく、昭和57年刊の毎日新聞社刊の別冊1億人
の昭和史「日本の戦力」にも、「どんなに低く見積もっても三等空曹」と
いう4本足の航空自衛隊員さん達の紹介記事が掲載されておりましたり

勿論親愛のこもったユーモア表現だったんでしょうけれど、特に優秀な警
備犬だったりすると、時には敬意をこめて、もうちょっと上の階級で呼ば
れていたような子もいたりしたんですかしら…
21無題Name名無し 25/05/19(月)21:53:44 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565533そうだねx2
実際にはやっぱり備品扱いなのかな…
担当の自衛官さんはそうは思わないんだろうけど
22無題Name名無し 25/05/20(火)08:39:36 IP:117.102.*(zoot.jp)No.565538そうだねx3
    1747697976748.jpg-(751754 B)
751754 B
警備犬のデモンストレーションは基地祭とかでも定番の人気項目ですよね
警備役だけでなく広報もこなしてるとするとやはりなかなかの働きぶり…
23無題Name名無し 25/05/20(火)15:55:17 IP:106.146.*(au-net.ne.jp)No.565541そうだねx1
    1747724117914.jpg-(37738 B)
37738 B
警備犬は災害救助にも出動
24無題Name名無し 25/05/20(火)18:46:39 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565545そうだねx3
    1747734399643.jpg-(87328 B)
87328 B
>警備役だけでなく広報もこなしてるとすると
警備犬の広報に積極的だったのは海自で、日本警察犬協会の支援のもと、昭和30年代はテレビ出演や愛称一般公募みたいな宣伝活動を展開していました。
いっぽう警察予備隊・保安隊・陸自の犬は関係者しか存在を知らないレベルで地味。
「警察予備隊がシェパードの訓練法を調べている」という噂が飛び交った後、ひっそりと保安隊警備犬チームが発足しています。保安隊側の責任者は満州軍用犬協会出身者で、戦時中に交流のあった日本シェパード犬登録協会から訓練指導を受けました。
陸自には統一性が見られず、松本駐屯地のケースでは長野県警が警察犬を採用したついでに歩哨犬を寄贈されています(いつしか存在自体が忘れ去られ、上に貼った陸自犬の写真も再公表されたのは撮影から35年後でした)。
アメリカ極東軍の流れを汲む空自歩哨犬の場合は、源田実が会長をつとめる日本警備犬協会主導で採用計画がすすめられたような形跡が。日本警察犬協会や日本シェパード犬登録協会の参入は一歩遅れていますし。
25無題Name名無し 25/05/20(火)20:19:06 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565548そうだねx4
    1747739946886.png-(1342995 B)
1342995 B
昭和47年ごろの航空自衛隊入間基地で、歩哨犬訓練センター、正しくは
航空自衛隊中部航空警戒管制団基地業務管理隊警備小隊歩哨犬分隊…の
歩哨犬係だった越智為一さんという方の話を読んだことがあるんですが、
戦中は少年戦車兵を夢見ていたものの果たせなかった越智氏、元々獣医
さんの家に寝泊まりしたり各所の犬の訓練所を巡るほどの犬好きでもあ
られたそうです

戦後の昭和25年には警察予備隊に入隊、通信・輸送の業務に携わってお
られたそうなんですが、昭和36年に犬の訓練士の資格を取得、同時にそ
の頃スタートしたばかりの航空自衛隊の歩哨犬訓練センターの責任者と
して迎えられたんですとか

この辺、最初からそちらへの配属をにらんでの抜擢もしくは養成であっ
のか、詳しい経緯が知りたいところではあります…w
26無題Name名無し 25/05/20(火)20:21:16 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565549そうだねx5
    1747740076006.png-(1345029 B)
1345029 B
ともあれ、昭和47年当時で全国各基地22か所に115頭という航空自衛隊の
歩哨犬(歩哨犬取扱者は140名)、昭和36年2月に米軍から寄贈された7頭を
嚆矢として、同年3月に民間から購入された5頭を加えた計12頭が「初期
メンバー」で、越智氏はまさにその発端から関わり続けた最古参、その
経験談も面白いものばかりだったんですが、例えば米軍からの移籍組の
軍用犬の場合、それまで英語で訓練を受けていたわけで、いざ自衛隊で
日本語の号令に切り替わると

「言葉とゼスチュアで教育するのですが、はじめは一寸戸惑ってますね」

…なんて、人犬双方の言語にかかわる苦労もあったんですとか

またある日のこと、横田の米軍基地から寄贈を受けた軍用犬を入間まで
連れてきたものの、翌日そのシェパードが即行方不明となって、「金の
卵」の失踪に一同ガッカリ…なんてこともあったそうです
27無題Name名無し 25/05/20(火)20:22:47 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565550そうだねx4
    1747740167740.png-(1202171 B)
1202171 B
ところがそこへ横田基地から「シェパード異状なく帰投せり」の連絡が
入り、慌てて迎えに行くと当のシェパードは、横田基地の古巣の中で澄
ましていたとのこと

越智氏は自宅でもセッター3頭とポインター1頭を飼う根っからの愛犬家、
愛情をもって接し続けた空自の歩哨犬も
「人の名前はよく忘れるんですが、犬の名前と犬相は1頭残らず全部覚え
ています」
…とのことなんですが、一方で各種の要因で昭和47年までに死亡した歩哨
犬の数も、既に282頭に及んでいたそうです

そんな歩哨犬たちの為の慰霊碑を建立してやりたい…というのが、取材当
時の越智氏の一番の願いであったそうなんですが、こちらは其の後無事実
現したんですかしら…
28無題Name名無し 25/05/21(水)01:39:51 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565553そうだねx3
>ところがそこへ横田基地から「シェパード異状なく帰投せり」の連絡が
入り、慌てて迎えに行くと当のシェパードは、横田基地の古巣の中で澄
ましていたとのこと
賢〜い・・・
29無題Name名無し 25/05/21(水)02:50:51 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565554そうだねx4
    1747763451040.jpg-(609091 B)
609091 B
>最初からそちらへの配属をにらんでの抜擢
・陸自の場合、配備前に愛犬家の隊員と民間畜犬団体との交流をはかるなどの準備を重ねていた例はあります。その他は「一時的に飼ってみた」程度で、取扱者の育成は考えていなかった様です。
・海自は昭和31年度末に予算消化のため急遽配備を決定し、警察犬協会へ犬の調達と訓練指導を要請した段階で取扱者の人選を済ませています。ドタバタの割に上層部の理解も得て、訓練は順調に進捗しました。
・空自に関しては戦前犬界との繋がりがなく、「突然デビューしました」みたいな感じで全体の流れがよく分かりません。越智氏の証言のように、エピソードもたくさんあるんでしょうね。
30無題Name名無し 25/05/21(水)02:58:19 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565555そうだねx4
    1747763899793.jpg-(151082 B)
151082 B
>各種の要因で昭和47年までに死亡した歩哨犬の数も、既に282頭に及んでいたそうです
進駐軍も「日本の風土病」といわれた犬フィラリア症に悩まされ、戦前に板垣四郎帝大教授が設立したフヰラリア研究会のスタッフに軍用犬の治療を依頼しています。
当時の軍用犬を救ったのは心臓外科手術による虫体摘出で、昭和16年に阪大が開発した治療法でした(ワクチンが開発されるまで、ジステンパーには打つ手なしでしたが)。
血統書を発行できず獣医師もおらず首輪やドッグフードを製造できない自衛隊も、民間ペット界の復興により犬の再配備を可能としたワケですね。
31無題Name名無し 25/05/21(水)09:13:26 IP:180.144.*(eonet.ne.jp)No.565556+
スレッドを立てた人によって削除されました
https://www.youtube.com/watch?v=-CTohPM09tQ
32無題Name名無し 25/05/21(水)09:21:39 IP:113.197.*(bbexcite.jp)No.565557そうだねx3
    1747786899792.jpg-(889517 B)
889517 B
軍用犬の漫画といえば他に
33無題Name名無し 25/05/22(木)10:38:51 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565565そうだねx4
民需の裾野が広いとそれに支えらる上澄みの軍用品の質も上がる・・・
ナマモノと言えど基本は同じやね
34無題Name名無し 25/05/22(木)19:24:24 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565572そうだねx4
    1747909464138.jpg-(70572 B)
70572 B
>ナマモノと言えど基本は同じやね
そのとおりで、軍用犬の分野も「犬を買いたい軍部」「犬を売りたい飼主」「両者の仲介窓口である畜犬団体」で成り立っていました。。
東洋の島国で多数のジャーマン・シェパードが飼われ、愛犬団体により飼育訓練法が共有され、畜産医療を基礎にペット医療が発展し、畜犬行政(狂犬病対策含む)が整備されていたおかげで、日本軍は調達資源母体の確立を民間にまかせ、運用管理に徹することができたワケです。
帝国軍用犬協会が設立されたのも、満州事変までの寄贈頼りから購買軍犬制へ移行するため。
……それで丸くおさまればよかったのですが、犬籍簿の独占をはかる帝犬が他団体を併呑する強行策をとったことで日本シェパード犬協会という対抗勢力を生み、皇族や軍部を巻き込む抗争へ至りました。
画像は軍犬購買会の告知
35無題Name名無し 25/05/23(金)02:17:03 IP:110.233.*(mesh.ad.jp)No.565576+
    1747934223806.jpg-(291592 B)
291592 B
何となく
36無題Name名無し 25/05/25(日)10:06:53 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565612そうだねx4
    1748135213480.png-(471745 B)
471745 B
戦前日本の主要な輸出製品の一つに絹糸があって、1938年には総輸出額
の約4割を占めていたそうなんですが、その結果乾燥状態でも年間およそ
6万トンという蛹が副産物として生じていたそうです

大体は養魚用飼料に回されていたものの、折角の高蛋白質(約60%)を含む
お蚕さんを、軍犬含む動物飼料に利用できないか?という研究がこの頃か
検討されていたそうなんですが、ネックとなるのは変質や悪臭、下痢の原
因となる高い脂肪分(約30%)

そこで製糸研究所ではベンジンを介して脱脂する製法を開発、蛋白質含有
量が80%にまで高まった脱脂乾燥蛹を粉末にして犬用ビスケットに混入、
市販品と比較試験も行ったそうなんですが(嗜好性はほとんど変わらなかっ
たとか)、国内養蚕業が比較にならない程縮小した昨今、新製品開発に躍起
のペット業界でも、今さら目を向けるところはないかもですね
37無題Name名無し 25/05/25(日)10:08:33 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565613そうだねx4
    1748135313242.png-(432905 B)
432905 B
因みに前述越智氏によると当時の昭和の空自犬の1日の食費は175円、給餌
は1日2回で朝の10時半と午後3時半

内容は1食当り「肉の罐詰」400グラムと「ドッグフッド(ママ)」350グラムと
のことで、「肉の罐詰」は犬用だったのか?とか「ドッグフッド」はウェッ
トなのかドライなのか?とか詳細が気になるところなんですが、単純に一律
の量を毎回給餌するのでなく、夏は少なめにしたり、犬のやせやすい冬など
は多めにするなど、犬のコンディションに合わせて量を調節するのが飼育の
コツだそうです

一方、じゃあ旧軍時代はどうだったのかしら…と調べてみましたら、(人間の)
糧食関係でも大家だった川島四郎さんの書かれた記事(1934年頃)が見つかりま
して、それによると例えば軍犬の体重を20〜40キログラムとすると、1日の所
要熱量が1500〜2700キロカロリー、内70%は蛋白質であることが望ましいとの
こと
38無題Name名無し 25/05/25(日)10:10:15 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565614そうだねx4
    1748135415736.png-(775538 B)
775538 B
陸軍歩兵学校で実施されている成犬1日分の食費は18銭、「肉類(馬肉または
獣肉屠殺屑)」350グラム、「野菜(兵営烹厨残菜)」若干、「調味料(味噌)」若
干を組み合わせて、食事時間は規定はないものの原則1日2回

川島氏が実際に見に行った時のメニューは
・生肉(豚肝臓)…約300グラム
・兵の残飯…1.5リットル
・かけ汁(みそ汁)…屠滓(牛豚腸)・馬鈴薯の皮・大根の皮・其の他野菜・味噌
…というもので、残飯とかけ汁はあわせて煮物にしたうえで生肉に添えたよう
です

氏によれば「古い愛犬家」には寄生虫予防の観点から、生肉は与えず煮焼きし
て与えるのを良しとするとする人が多いものの、陸軍歩兵学校では繊維が固く
なったり、ビタミンや犬の好む生肉臭の消失を防ぐため、なるべく生のものを
与える方針を取っていたんだそうで
39無題Name名無し 25/05/25(日)10:11:15 IP:119.241.*(mesh.ad.jp)No.565615そうだねx5
    1748135475105.png-(449516 B)
449516 B
前述製糸研究所の研究者さんの話によれば、昔から蚕の蛹を与えると犬が寄生
虫に強くなると愛犬家の間では言われていたそうで(豊富なビタミンBが抵抗力
を与えるのでは?と推察されておりましたり)、そういう意味では案外IJAの軍
犬飼育法とお蚕さんは、相性が良かったのかも知れないですねw

川島氏の記事執筆時点では
「(軍犬の)携帯飼料としては、犬用ビスケット類が輸入され、国産品も(略)あ
りますが、我国の軍犬用の携帯飼料として特定したものは未だありません。普
通ビスケットの屑物や、粉鰹節或いは魚粉(略)等を混入したビスケットなどを
使用しています」
…という状況であったそうなんですが、「蛹粉入犬ビスケット」も、もし実用
化されていたなら、案外有益かつユニークな犬用レーションとして喜ばれてい
たりしてたですかも…
40無題Name名無し 25/05/25(日)14:17:33 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565623そうだねx3
    1748150253763.jpg-(29836 B)
29836 B
>「蛹粉入犬ビスケット」も、もし実用化されていたなら
お話に出てくる農林省蚕糸試験場のドッグフードは、もともと犬のためではなく蚕糸生産の副産物である蛹の活用法として試作されたそうです。
民生品の蛹粉入りドッグフードもあったようで、当時の記録では「栄養価は高く寄生虫への抵抗力もつくが、与えすぎると腹を壊す」という評価でした。
他の変わり種としては民間のイナゴ入りドッグフード、陸軍輜重学校のお茶っ葉入りドッグフードなどがありました。この辺は戦時食糧難による代用飼料として研究されていたものです。
画像は慰問品として戦地へ贈られるドッグフード
41無題Name名無し 25/05/25(日)14:23:20 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565624そうだねx4
    1748150600478.jpg-(40538 B)
40538 B
このように民間ペット向けのドッグフードは充実していましたが、軍犬の場合、ドッグフードは慰問品として届く程度。残飯の利用が一般的でした。
自分の糧食に加えて犬の餌も運ぶ必要がある軍犬兵にとっては、適切な携帯飼料があれば有難かった筈です。しかし戦地では餌の確保に苦労し、多くの軍犬が痩せ細っていました(いっぽう、戦死体を漁る野犬は丸々と肥えていたとか)。
42無題Name名無し 25/05/25(日)14:33:11 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565625そうだねx2
    1748151191020.jpg-(83261 B)
83261 B
たかが犬の餌であっても、研究を怠るとイザというとき慌てる羽目に。
沖縄戦がはじまってから「米軍の犬を餌で騙せないか?」などと新宿中村屋の相馬安雄社長(日本シェパード犬協会理事)に相談した海軍将校もいて、「米軍の犬は日本兵より美味い物を喰っていますよ」と呆れられています。
切実だったのは関東軍で、満ソ国境での偵察や亡命者支援はソ連側の国境警備犬に妨害され続けていました。
そこでさまざまな対犬材(消臭剤、誘惑剤、臭気攪乱剤)が開発される中、飼料関係では「餌をばらまく」「毒餌や口発破を仕掛ける」「血粉や唐辛子粉を撒く」などの対策も研究されていました。
画像は海軍の犬用調理器具。陸軍犬と海軍犬では餌の内容とか違ってたんですかね?
43無題Name名無し 25/05/25(日)22:48:59 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565636そうだねx3
軍用ワン◯ゅーるとか出したら米軍とかから注文くるんじゃないかな・・・?
44無題Name名無し 25/05/26(月)09:36:39 IP:183.74.*(spmode.ne.jp)No.565645そうだねx2
北朝鮮の軍犬とかなら一発で懐柔できそう…
普段ロクな餌貰ってないだろうし
45無題Name名無し 25/05/26(月)14:57:49 IP:119.243.*(mesh.ad.jp)No.565649そうだねx5
    1748239069858.jpg-(117945 B)
117945 B
大東亜戦争もいよいよ末期の昭和20年、IJNでは憎っくきB-29の巣である
マリアナ諸島の航空基地に1式陸攻で陸戦隊をカチこませてB-29を焼こう
ぜ!という「剣」作戦の準備が進められていたそうなんですが、その中で
やはり必ず遭遇するであろう米軍の警備犬への対策案の検討も進められて
いたそうです

その「剣」作戦の要となる呉101特別陸戦隊(山岡部隊)の隊員だった松友
敬次さんという方の回想記によると、ある日部隊内で誰か犬の好きな者は
いないか?と募集がかけられたことがあり、「小さな時から犬の好きな私」
も含め数名の隊員が選抜されたんですとか

その後、上官の伊佐山少尉と二人で神奈川県川崎市の「軍用犬を養成して
いる登戸(ママ)」に送られたそうなんですが、何をさせられるのかは不明、
犬好きだから訓練でもさせてくれるのかな…と軽い気持ちで出かけたんだ
そうで
46無題Name名無し 25/05/26(月)14:58:47 IP:119.243.*(mesh.ad.jp)No.565650そうだねx5
    1748239127999.png-(387439 B)
387439 B
ところが待っていたのは檻の中で猛り狂う何十頭もの狼めいたシェパード
とドーベルマンで、今にもとびかかって来るような面構えに正直なところ
「全身がガタブル」、カラテ5段という同行の伊佐山少尉さんも困った顔を
していたそうなんですが、一通り訓練模様を見学した後に、柔道着の親方
のような防護服を着せられて小さな木刀を渡されると、「小牛程もある」
シェパードと実際に格闘訓練させられる羽目になってしまったそうです

こ、こんな触れ合いは望んでいなかったよぉ!という松友さんなんですが、
「顔や足には噛みつかないから心配ない」という調教師の言葉と防護服を
信じて訓練に及んだものの、右手に持った木刀で刺そうとしてもたちまち
振り回され、ほんの20〜30秒で地面に引き倒される始末

油汗と埃で真っ黒になりつつ、「犬がこんなに力があるとは考えてもみな
かった」と、軍用犬の威力を文字通り身をもって思い知ったそうです
47無題Name名無し 25/05/26(月)14:59:58 IP:119.243.*(mesh.ad.jp)No.565651そうだねx4
    1748239198074.png-(1038919 B)
1038919 B
そしてそんな訓練終了後に見せてもらったのが、「そんな獰猛犬でも、又
どんなに訓練された犬でも(略)猫にマタタビですよ」という液体の薬物の
デモンストレーションで、
「敏の中からほんの少し地面にたらしただけで、猛犬がくんくん云い乍ら、
たらした場所の地面を掘りだした」

「あっという間に大きな穴があき、その中に寝転んで(略)出ようともしな
い(略)調教師が呼んでも来ないのである。凄い薬だ。いろいろ聞いたが、
要はメス犬の臭いだと云う事だった」
…という内容

要はこの出張の最終目的はこの薬物だったようで、松友氏らは何本かを
貰い受けリュックに背負って帰ったそうなんですが、途中栓が抜けて中
身がこぼれ、そこらの犬がゾロゾロついてきて困ったとのことw
48無題Name名無し 25/05/26(月)15:01:09 IP:119.243.*(mesh.ad.jp)No.565652そうだねx5
    1748239269213.jpg-(116501 B)
116501 B
当時登戸にあったのは軍犬の訓練施設ではなく、有名なIJAの謀略戦用機
材研究開発担当の登戸研究所で、氏の回想に出てくる獰猛な軍犬もメロメ
ロにしてしまう薬液は、その第2科2班で開発された「エ」号剤なる薬剤で
あったようです

乾坤一擲の作戦に際し、IJNとしては軍犬対策に一日の長のあったIJAの力
を借りることになった…というお話のようなんですが、大戦中の麗しい陸
海協同
事例の一つ、ということなるんですかしら

しかしこの匂い…助平すぎるっ!とオスの軍犬に著効の「エ」号剤、メス
犬のフェロモン様物質ということなんですが(卵巣からの抽出物と書かれた
本もありましたり)、相手の米軍犬が仮にメスだったりした場合、やっぱり
効果はないんですかしら…
49無題Name名無し 25/05/26(月)21:27:07 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565657そうだねx4
百合百合な軍犬もいたかも知れないし(棒
それはともかく、生き物の本能に関わる弱点は突かれるとやっぱり弱いねえ
50無題Name名無し 25/05/26(月)22:10:59 IP:117.102.*(zoot.jp)No.565658そうだねx3
人間の歩哨もそっと美女のグラビア雑誌とか置いておけばそっちに気を取られてる隙に潜入できますし…(ゲーム脳)
51無題Name名無し 25/05/26(月)23:22:03 IP:122.212.*(ucom.ne.jp)No.565659そうだねx1
    1748269323373.jpg-(36929 B)
36929 B
どういう仕組みか向こうの番犬は日本人にだけ反応して奇襲にならず対抗策もなかったって

読んでて火を通して甘くした玉ねぎでも投げてやればと思った
人なら拾い食いしても死なないし
52無題Name名無し 25/05/27(火)02:47:52 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565663そうだねx1
ちゃんと訓練された犬は知らない人からや落ちてる食べ物は食わないらしいから・・・
53無題Name名無し 25/05/27(火)17:48:43 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565674そうだねx3
    1748335723731.jpg-(75350 B)
75350 B
>第2科2班で開発された「エ」号剤なる薬剤
まずは昭和12年、樹液を原料とする消臭剤がテストされます。これは失敗したものの、「忌避剤」および「発情期の牝犬の尿などを利用した誘惑剤」の開発がスタート。
「ソ連警備犬のために国境線の突破不可能なり」という現場からの訴えを受け、関東軍が「軍用犬の追跡防止と潜入行動資材に関する研究」の開発を登戸研究所に要請したのは昭和14年。これがエ号剤のほか経口発情剤、麻酔剤の開発へ至ります。
登戸と並行して関東軍軍犬育成所での研究も拡大しました。生きたウサギや発情期の牝犬で敵軍犬を誘惑する方法も試され、かなり有効だったとのこと。
あと、酪酸希釈液を塗りたくって体臭を上書きする撹乱剤が登場したものの、臭すぎて全く効果なし。目立ってどうする。
54無題Name名無し 25/05/27(火)18:00:44 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565675そうだねx3
    1748336444465.jpg-(156499 B)
156499 B
そのような経緯を経て、陸軍の挺進作戦マニュアルに「犬用嗜好剤」が登場します。
海軍で戦闘用の犬を活用していたのは上海陸戦隊くらいで、大部分は後方の火薬庫警備犬でした。なので陸軍に教えを乞う必要があったワケです。
あと、関東軍の対犬材として「瓦斯ピストル」なるものが散見されるのですが、何だろうコレ?
55無題Name名無し 25/05/27(火)20:15:42 IP:119.243.*(mesh.ad.jp)No.565678そうだねx5
    1748344542279.png-(399434 B)
399434 B
>「瓦斯ピストル」なるもの
1930年代のアメリカでは宝石店等の防犯用に催涙ガスを射出できる小型の
ガスピストルが市販されていたそうで、今の防犯スプレーめいたものであ
ったみたいなんですが、大阪府警察部なんかでも輸入して使用していたそ
うです

20〜30グラムくらいの薬液を内蔵して2〜3グラムずつ射出出来、三間くら
いの距離で1発喰らっても「14〜5分は大の男がバッタリその場に倒れてし
まう」というこの催涙瓦斯ピストル、IJAが軍犬対策に使用したというもの
と同じか確証はないんですが、とびかかって来る猛犬相手にも転用出来そ
うではありますですね

因みに前述森岡部隊の松友さんの手記に出てくる上官の伊佐山悦郎さんの
方も、「エ」号剤に関する思い出を書き残されておられるんですが、そち
らは実は松本さんの回想と微妙に異なる内容であったりしましたり
56無題Name名無し 25/05/27(火)20:17:40 IP:119.243.*(mesh.ad.jp)No.565679そうだねx5
    1748344660189.png-(990469 B)
990469 B
まず伊佐山氏の回想では、3月某日に軍用犬部隊で訓練服をまとい訓練を受
けたのは登戸ではなく、千葉の陸軍歩兵学校

そこで「恐るべき嗅覚神経を逆利用した(略)エ号剤(発情剤)の神秘的な効用
に畏服」した氏は、

「この秘薬および麻痺剤、毒剤等を急ぎ入手せんと上京。無届のまま陸軍科
学技術庁に入庁(略)情報をもとに翌早朝出発、神奈川の登戸の陸軍特殊技術
研究所に無認可のまま潜入(略)広い研究所内に雲隠れ」

…し(潜入と言っても、正門からさも公用の部隊到着のように大音声で名乗っ
て、守衛を幻惑し強行突破したそうですが)、

「薬品の収納庫の所在を追及(略)目的の物は頑丈な秘密収納庫に保管」
57無題Name名無し 25/05/27(火)20:18:21 IP:119.243.*(mesh.ad.jp)No.565680そうだねx4
    1748344701239.png-(1228040 B)
1228040 B
「私は6人の技術佐官と談合中(略)非常ベル、緊急警報(略)憲兵将校に誘導さ
れ、研究所の所長室にて詰問を受ける」

「不法闖入者と接触した技術佐官殿が召集を受け入室。その非の責をうけて
いる間に退室。不安な様子で一室にまつ隊員を見て安堵。各人の衣服の内側
が大部分ふくらんでいるので、目的達成と判断。眼と眼が緊急脱出を知らせ
る(略)正門近くまで駆け足」

「(略)戦利品の点検(略)隊員を信頼していた通り、衣服の裏より出る、出る。
エ号剤、麻痺剤、毒剤、等々。約軍犬3百頭分と判断。身の危険をさとり帰隊
を急」

…いだんですとか
58無題Name名無し 25/05/27(火)20:20:31 IP:119.243.*(mesh.ad.jp)No.565681そうだねx5
    1748344831176.png-(548166 B)
548166 B
こちらの証言ですと、麗しい陸海協同というのもちょっとアヤしいというか、
流石特殊部隊として猛訓練を積み「忍者部隊」と綽名されていた森岡部隊だけ
あって、ギンバイも豪快であったというべきか…というところなんですが、ま
あ敵基地に突入したあとほぼ生還を期しえない部隊であったという所為もあっ
てか、其の後特にIJA側から抗議が来たということもなかったようです

まあ登戸の方も特殊戦機材開発の秘匿研究所にしては意外に警備が笊というか、
大事な秘密薬品の保管庫の前には、念を入れて軍犬でもつないでおいたほうが
よかったんではないですかしら…w
59無題Name名無し 25/05/27(火)20:54:01 IP:106.131.*(au-net.ne.jp)No.565683+
>普段ロクな餌貰ってないだろうし
犬、食べられちゃってるかもな。
60無題Name名無し 25/05/28(水)01:32:07 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565684そうだねx2
    1748363527493.jpg-(68677 B)
68677 B
>大阪府警察部なんかでも輸入して使用していたそうです
ありがとうございます。長年の謎が解決しました。
ちなみに画像1748344701239の貴志重光大尉(起立している将校)は、「満州事変における軍犬の運用は失敗」という総括をふまえて関東軍軍犬育成所を設立した人物です。列の先頭にいる宍戸軍曹は、関東軍軍犬育成所長や満州国税関監視犬育成所長を歴任した貴志大尉の右腕的存在でした。
軍犬の配備拡大をはかる貴志大尉は、満州事変で戦死した那智・金剛・メリーの武勇伝を盛大に脚色。「那智とメリーが戦死、金剛が行方不明」という当初の戦地便りは「那智金剛姉弟は支那兵の軍服を噛み千切り、雪を血に染めて戦死していた」という内容に改竄され、そのまま教科書にも掲載されてしまいます。
この人がいなかったら関東軍は軍犬研究を放棄し、満州軍用犬協会をハブとする満鉄や税関との警備犬ネットワークも成立しなかったんだろうな。
61無題Name名無し 25/05/29(木)00:27:09 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565706そうだねx4
まあ当時は人間だって例え流れ玉に当たっても「勇敢に戦って名誉の戦死」と書くのが
暗黙の了解だったらしいし…
犬の遺族はともかく飼い主さんはせめて立派に働いて死んだと信じたいだろうしな
62無題Name名無し 25/05/29(木)19:06:37 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565718そうだねx3
    1748513197839.jpg-(113687 B)
113687 B
>飼い主さんはせめて立派に働いて死んだと信じたいだろうしな

もちろん軍用動物の犠牲においても、その辺の配慮は行届いていたようです。この件で不幸だったのは、飼い主側が批判されてしまったこと。

「那智とメリーが戦死、金剛が行方不明」という板倉至大尉からの手紙を最初に公表したのは献納者の浅野浩利氏でした。二ヶ月後に板倉大尉も戦死したことで「国家に命を捧げた主人と犬」の話が大々的に報じられると、後任の貴志大尉らは「戦死したのは那智と金剛。浅野氏が勘違いしたのだ」などと言い出します。「脚色したのはそっちだろう」と浅野氏も応酬し、後味の悪い結末となりました。
63無題Name名無し 25/05/29(木)19:09:53 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565719そうだねx3
    1748513393220.jpg-(179884 B)
179884 B
ついでに報道だけではなく慰霊も混乱。那智、金剛、メリーを失った板倉大尉が新たに購入した仔犬の「ジュリー」は、大尉の戦死によって遺族と共に神奈川へ渡りました。
翌年にジュリーは病死し、陸軍省の後援で慰霊像が建立されます。僚犬を合祀するため、奉天独立守備隊からは那智と金剛の遺骨が届きました。
しかし昭和13年に奉天で「那智と金剛の遺骨」なるものが発掘され、3頭の遺骨が奉天と神奈川に5頭分あるという状況に。そういうアレコレが重なり、真相は謎のままです。
画像はジュリー慰霊碑(後年の金属供出で撤去)
64無題Name名無し 25/05/30(金)21:37:04 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565735そうだねx4
まあお釈迦様の御遺骨だって世界中にあるらしいし・・・(違
65無題Name名無し 25/05/31(土)22:25:15 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565751そうだねx6
    1748697915915.webp-(57470 B)
57470 B
正確な出典が思い出せないんですが、大戦末期に、日本本土に来襲したB-29
の1機を首尾よく撃墜した後、上空から落下傘が一つ降りてきたものの、ど
うも様子がおかしいので双眼鏡でよく見てみたら人ではなく犬がぶら下がっ
ていた…という話を昔読んだ覚えがあります

どうもマスコット犬を同乗させていたらしく、墜落する機から忘れずに犬に
も落下傘を与えて機外に放り出した…ということで、敵ながらまさに愛犬家
の鑑!と言いたいところですが、よく考えたらそもそも撃墜されるようなミッ
ションに愛犬を同行させてるのはどうなんだろう…と思わなくもありません
でしたり

とはいえ、固い絆で結ばれた愛犬を愛機にも載せていきたい…という思いは
古今東西の航空機搭乗員さん達に共通であったらしく、戦史にも各国で色々
な例が屡々見受けられましたり
66無題Name名無し 25/05/31(土)22:27:34 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565752そうだねx8
    1748698054234.png-(556513 B)
556513 B
WW1期独空軍の著名な戦闘機エースだったマンフレット・フォン・リヒトホー
フェン=サンの手記には、「エルムの木の色をした短毛の」グレートデン種
の愛犬「モリッツ」君の話が出てくるんですが、レッド・バロン=サン曰く

「私が1度飛行機に乗せて以来、この犬は私の『筆頭オブザーバー』となった。
彼は敏感な知覚を持ち、上空から地上を興味深げに眺めるのであった(略)モリッ
ツは飛行を喜んだ」

…そうです

ただモリッツ君、どうも飛行中に機内で粗相したらしく、「整備兵は飛行機の
機内の清掃に手をやきボヤい」ていたそうなんですが、一方でよく野兎を狩っ
てきて整備兵さん達を喜ばせてもいたそうですので、「清掃代」はちゃんと自
分で支払っていた、ということになるんでしょかねw
67無題Name名無し 25/05/31(土)22:30:20 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565753そうだねx6
    1748698220383.png-(415646 B)
415646 B
また戦中の昭和16年に日本で出版された「陸の荒鷲殊勲甲」なる書籍の中
に、「陣中愛犬ハチ公物語りの市川英二郎少尉」なる1章があるんですが、
それによると支那事変も真っ最中の昭和14年頃、中国大陸に展開していた
IJA航空隊の爆撃機○○部隊(※検閲)では「チビ公、ヨタ公、太郎の3匹の
犬」がいたそうです
諸所の描写から、○○部隊は当時イタリア製フィアットBR20双発爆撃機を
装備していた飛行第98戦隊と思われるんですが、
「これ等の犬は時折同部隊の爆撃行に参加、現にヨタ公の如きは第1回蘭州
爆撃に参加して、地上勤務者を羨ましがらせてゐる」
…とのこと
そして記事の主題は
「白と、茶色の毛並で、身體の小さいチビ公は(略)捨て犬と同様であったの
を、市川少尉に拾いあげられ(略)その首には少尉の手になる古紙で『上等兵』
の肩章がぶら下げられ(略)若い一等兵や二等兵は『チビ公上等兵どの』など
と挙手の礼をするなど、隊内きっての人気者であり、又人にもよく馴れていた」
68無題Name名無し 25/05/31(土)22:33:19 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565754そうだねx7
    1748698399226.jpg-(49932 B)
49932 B
…という「チビ公」君とその飼主の市川少尉

しかし勘の良い方は「ハチ公物語」で嫌な予感がされたであろう通り、市川さ
んは昭和14年2月22日の蘭州爆撃行の際、中国側邀撃機によって撃墜された2機
のイ式重爆のどちらかに搭乗しており、愛機と運命を共にされているんですとか

「少尉がいつも、着陸と同時に(略)ふく口笛を求め、懐かしいその姿を求めて
駆け廻っていたが、遂にその姿に接し得ないので(略)狂わしげに、飛行場の周
囲を駆けめぐっていた姿に、勇士たちの顔にもさすがに涙が光った」

「以来今日に至るまで、毎日の如く着陸する機から、主人の姿を求めようとし
ている様子が、餘りにもいぢらしく(略)勇士たちは一層の愛撫を與えている」

…そうなんですが、やめて下さいよこういうの…泣いちゃうじゃないですか…
69無題Name名無し 25/06/01(日)21:31:48 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565767そうだねx3
犬もペットロスならぬ飼い主ロスで体調壊すやつもいるらしいからね・・・
なまじ賢いとそういうところは反って辛いね
70無題Name名無し 25/06/02(月)00:01:42 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565772そうだねx3
    1748790102906.jpg-(51467 B)
51467 B
>陣中愛犬ハチ公物語り
士気高揚のための軍犬武勇伝とは異なり、将兵のペット談がハチ公になぞらえられていたのは興味深いなあ。
ハチ公を軍国主義のシンボルとして批判する向きもありますが、「国家と秋田犬」は文部省による日本犬保存運動の分野です。陸軍省の軍犬報国運動(民間シェパードの普及活動)が無視されている理由は、渋谷駅のハチ公と満州事変の那智号が混同されているのかもしれません。
71無題Name名無し 25/06/02(月)00:04:15 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565773そうだねx3
    1748790255041.jpg-(30887 B)
30887 B
満州国防衛に渋谷駅の忠犬物語は必要なく、関東軍も「満州国の犬物語」を宣伝していました。
「日本軍は国産の和犬を配備しろ」などと叫んでいたのは日本犬愛好家だけで、軍部からは無視されています。敗戦時までの累計飼育登録数が6〜7万頭規模だったシェパード(秋田犬の数倍)がいれば充分でしたし、そもそも天然記念物の日本犬を実戦投入できるワケないだろうと。
画像は日中開戦時点の帝国軍用犬協会シェパード犬籍簿(延登録数2万2千頭)
72無題Name名無し 25/06/03(火)08:47:46 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565800そうだねx4
毛皮の供出で愛犬差し出すのが美談の時代だからねえ
犬にも飼い主にもやっぱり平和が一番ですよ…
73無題Name名無し 25/06/03(火)09:54:51 IP:117.102.*(zoot.jp)No.565804そうだねx1
ここで依然貼られた画像でしたっけか
飛行服の裏地が犬の毛皮の様々な柄で…ってのが生々しかったような…
74無題Name名無し 25/06/04(水)07:05:20 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565810そうだねx3
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187291 B
>毛皮の供出で愛犬差し出すのが美談の時代
美談というよりは「贅沢は敵だ」を掲げる国民精神総動員による同調圧力でした。「皆が耐乏生活を送っているこの非常時に、ペットを飼うのは贅沢である」と。
国の施策としては商工省の皮革配給統制がはじまりです。駆除野犬の革(三味線革)も統制対象に加えたのは昭和14年で、戦時食糧難の到来を予測した農林省が昭和16年頃から追随。
闇市場への三味線革流出を阻止するためには原皮を押さえればよい、という理屈で軍需省は昭和19年から個人が飼うペットの毛皮まで狙いました。……が、そこまで暴走した経緯がさっぱり分かりません。
75無題Name名無し 25/06/04(水)07:08:04 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565811そうだねx4
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85389 B
>ここで依然貼られた画像でしたっけか
あれは猫皮でしたね。何で統制対象外のネコまで狙われたのかは不明。
この件に関する報道は「戦時中にペットを奪われた児童の思い出話」という被害者の視点が中心で、実施した側への取材はされませんでした。なので全体の構図がよく分からず、憶測で語られることも多いようです。
戦時下の狂犬病対策(生産)、皮革業界や統制機関(加工・流通)が担った部分は無視されていますし。
陸軍省の庇護下で毛皮献納を免れたシェパードは、本土決戦に備える義勇部隊「国防犬隊」へ加入させられます。毛皮になるか米軍と戦うか、逃げ場所はなかったワケです。
比較的食糧事情がよくフィラリア症も少なかった北海道には多数の犬が残存しており、戦後犬界の復興に貢献しました。
76無題Name名無し 25/06/04(水)18:19:14 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565828そうだねx5
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265297 B
エゲレスの軍用犬で、軍用動物のヴィクトリア十字章と呼ばれるディッキン・
メダルを受賞した1頭に「ビング」君というのが居るそうなんですが、ジャー
マンシェパードとコリーの雑種だった彼が「入隊」したきっかけは、民間の
彼の飼主さんが、戦時の配給生活で十分な給餌が出来なくなったからであっ
たそうですw

その後ハートフォード州の英陸軍軍用犬訓練学校で訓練を受けたのち、第6
空挺師団第13空挺大隊の偵察小隊所属となったビング君、1944年6月6日の連
合軍ノルマンディー進攻の際にはハンドラー兼トレーナーのケン・ベイリー
=サンと共にパラシュート降下も経験

降下時に木に引っかかったり戦闘中に負傷したりと色々大変だったようです
が、フランスでの任務を全うした後にはドイツ本土への進攻作戦にも参加、
戦後は無事に元の飼主宅に戻ることができたようです
77無題Name名無し 25/06/04(水)18:20:37 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565829そうだねx5
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また同じくディッキンメダル受賞犬であるコリー犬の「ロブ」君も、シュロッ
プシャー州の農園で勤勉に働く農業犬であったものの、餌が十分に貰える軍隊
の方が暮らし良いだろう…という似たような飼主さんの判断で陸軍に供出され
たとのこと

警備・連絡犬として高い適性を示したロブ君は直にハンドラーと共に北アフリ
カ戦線に送られ、そこで現地に展開していたSASの警備犬として働くことになっ
たんだそうで

有能なロブ君は忽ち隊員の人気者となり、空挺降下の訓練中に飛行機にも乗せ
ていったそうなんですが、そこでも物怖じせず楽し気な彼の様子を見た隊員さ
ん達は、現地の米軍からパラシュート他の機材を拝借し彼の降下訓練を開始

そこでも優秀な適性を示し、以降空挺降下作戦においてもSASの一員として同
行するようになっていったんですとか
78無題Name名無し 25/06/04(水)18:22:04 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565830そうだねx5
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38470 B
Dデイ準備の一環として訓練された中の1頭だった「ビング」君と違い、現地
部隊での独自配備というイレギュラー的存在であったようなんですが、無数
の降下をこなし夜間暗闇の中に散らばった隊員を誘導して集合させたり、警
備・連絡役を果たすなど縦横に働いた「ロブ」君は戦中1945年1月にディッキ
ン・メダルの推薦を受け、また退役後には別に謝礼として、英陸軍から「一生
分のドッグビスケット」が送られているとのこと

ただ、戦後かつて同じSAS部隊の同僚だった1隊員の手記などから、実戦でのパ
ラシュート降下含むロブ君の武勇伝の数々が、戦意高揚のための作り話であっ
たのでは?なんて論争が起こってもいるそうで、この辺はまあ、どこの国でも
変わらないなあ…というところなんですが、そんな人間同士の一悶着はともか
く、ロブ君自身は戦後無事元の飼主さんの農場に戻り、やはり忠実に働き続け
たのち、天寿を全うしたそうです
まあどんな勲章よりも、ロブ君にとっては結局それが何より喜ばしい事であっ
たんではないですかしら…
79無題Name名無し 25/06/04(水)23:58:49 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565835そうだねx1
「のらくろ」も食うに困って軍隊に入ったんだったかな・・・
なんにせよ戦時下の愛犬家は辛いね
80無題Name名無し 25/06/05(木)19:01:01 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565850そうだねx3
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23567 B
>「のらくろ」も食うに困って軍隊に入ったんだったかな・・・

近隣住民から白眼視され、飼主は出征し、餌の確保にも困ったあげく、昭和16年頃から野犬(飼育放棄されたペット)が激増していきます。

食糧難に陥った第一次世界大戦下の銃後ドイツでも同じような話がありました。いっぽう同国のシェパード団体は大戦勃発とともに獻納窓口を開設し、大量のシェパードを戦地へ送り込みました。
軍用犬の献納は「お国のため」という世間体を保つとともに、「飼いきれなくなったペットの救済策」でもあったワケです。
日本軍でもそのような寄贈犬が増えたため、訓練が追いつかなくなった部隊もありました。
おっかないシェパードが増えた軍犬舎に部外者が近寄らなくなった結果、「こっそり持ち込んだ嗜好品の秘匿場所としては最適だった」とか何とか。
81無題Name名無し 25/06/05(木)19:03:09 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565851そうだねx5
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99250 B
>後は無事に元の飼主宅に戻ることができたようです

アメリカのD4Dなど、献納軍犬制度の場合は大戦後に帰宅することもできました。しかし購買軍犬制度を採用していた日本では「軍の所有物」となり、返却は困難だったようです(帝国軍用犬協会では「売却した以上は諦めろ」的なアドバイスをしています)。
それでも敗戦時に国内残留していた軍犬の場合、戦後に飼主が取り戻した記録は幾つかあります。しかし「戦場から帰った犬は一頭もいない」という悲劇性を強調したがる日本人は、帰国や帰宅をはたした軍犬の存在を完全に無視。
ビング君やロブ君と違い、日本の軍犬にハッピーエンドは求められていないのでしょう。
画像は帰宅できたワンコ
82無題Name名無し 25/06/06(金)09:29:51 IP:49.98.*(spmode.ne.jp)No.565856そうだねx2
実際日本の軍犬は帰って来たの皆無だったと思ってたわ
仮に帰国出来ても戦後の食糧難の時期だと盗まれて闇市で
売られそうだし…
83無題Name名無し 25/06/06(金)23:04:48 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565873そうだねx3
まあ勝った方は余裕があっていいよね(敗戦国のひがみ
84無題Name名無し 25/06/07(土)00:25:37 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565874そうだねx3
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94983 B
>勝った方は余裕があっていいよね
敗戦時には一頭も帰国できなかったのですが、勝っていた頃(満州事変から昭和14年頃まで)は普通に凱旋していたようです。
帰国の定義がややこしいのは、外地や満州国、中国(上海や青島)、ドイツやアメリカ生まれの日本軍犬もいたこと。異国生れの彼らと内地から出征した犬とは区別すべきかもしれません。
いずれにせよ犠牲になった犬を悼むとともに、帰って来た犬にオカエリのひと言くらいはかけてやりたいなと思います。
画像は第二次上海事変従軍後に飼主宅へ戻ることもできたフリーダ
85無題Name名無し 25/06/07(土)00:28:15 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565875そうだねx2
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39692 B
>実際日本の軍犬は帰って来たの皆無だったと思ってたわ
所詮は犬の話ゆえ、忘れられてしまったのは仕方ないとも思います。
日本のシェパードは青島(ドイツ人警官が移入した警察犬)、上海(租界や緑蔭犬院のドイツ直輸入個体)、哈爾浜(ロシア経由で移入)、欧州航路などから輸入が始まり、昭和初期の説教強盗事件を機に国産へと移行しました。
しかし、ドイツ直系で箔付けしたい日本シェパード倶楽部は「青島系は雑種だ、タヌキだ、猛獣だ」などと中傷。自らのルーツを否定したことで根無し草状態となりました。
さらに生れた国が消滅した満州産の軍犬とか、台湾総督府の警備犬や南樺太の犬橇部隊がどうなったのかとか、日本シェパード犬協会から高麗シェパード犬協会への半島事業継承とかを含めて検証しないと、帰国軍犬の話は整理できないんだろうなと。
画像は綺麗さっぱり忘れ去られた青島犬界
86無題Name名無し 25/06/09(月)21:47:16 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565906そうだねx2
欧州とかでも敗戦で国自体なくなっちゃった軍犬隊はそこそこありそうだなぁ・・・
87無題Name名無し 25/06/09(月)22:30:15 IP:1.79.*(spmode.ne.jp)No.565907+
なんか女郎として売られる漫画内で、犬を手袋の素材として供出って描写あったんだけどそうなので?
88無題Name名無し 25/06/10(火)07:36:40 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565908そうだねx2
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43940 B
>犬を手袋の素材として供出って描写あったんだけどそうなので?
国策としての犬の献納は、商工省の「犬革統制」と陸軍省の「軍用犬調達」に分かれます。

商工省の目的は戦時経済体制への移行を示すこと。贅沢品である三味線革も他の民需(革靴、鞄、手袋、工業部品など)へ転換し、たとえ犬でも例外は認めないと皮革業界へ宣言したワケです。その点、日中開戦による調達不足が懸念された牛皮、馬皮、羊毛など「必要に迫られた皮革統制」とは異なりました。
上でレスしたとおり、昭和14年当初は駆除野犬の加工革が対象だったものの、農林省や警視庁とのアレコレを経て軍需省・厚生省によるペット原皮供出(昭和19年)へ至っています。
商工省の買取価格は画像のとおり
89無題Name名無し 25/06/10(火)07:39:23 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565909そうだねx3
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107471 B
ついでにNo.565875の続き。

たとえば日本軍犬のシンボルと化した那智・金剛の遺骨は奉天と神奈川へ埋葬されたのですが、「姉弟の遺骨を生まれ故郷の山東省青島へ帰してやろう」という配慮はなかったようです。

その理由が歪な軍犬慰霊によるものか、日本犬界が青島犬界を見下していたせいなのかは不明。献納者の浅野氏自身は愛犬たちが奉天に埋葬されていることを喜んでいたので、内地、外地、満州や青島それぞれの地域で「帰国軍犬」への視点は違っていたんだろうなというお話でした。
ドッグレース事業で盛り上がっていた満州軍用犬協会には、帝国軍用犬協会みたいな出征への悲壮感も見られませんし。
90無題Name名無し 25/06/13(金)16:05:46 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565967そうだねx3
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111510 B
1960年代に日本の横田基地に展開していた米空軍第7空港飛行隊戦闘管制チー
ムには、「ギジェット」という名の雑種のマスコット犬がいたそうなんですが、
体重25ポンド、体高18インチという彼女、職業柄空挺降下もこなす隊員さん達
に合わせて直径12フィートの専用パラシュートを誂えてもらい、1960年5月に
初降下をこなして以来、C-130から十数回の降下経験を積んでいるというベテ
ランの「パラシュート犬」であったとのこと

装具を付けてもらうと自分から大空を見上げながら吠えて催促した、と言いま
すから、まあ生来「空挺向き」の性質であったみたいですねえ
91無題Name名無し 25/06/13(金)16:06:52 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565968そうだねx4
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25844 B
因みに前述のエゲレスSAS犬のロブ君の話の中で、米軍に軍犬の降下機材を借り
た話もありましたが、米軍ではWW2期から「パラドッグ」の運用を割合本格的に
開始していて、各戦地にも部隊を展開していたそうです

きっかけとなったのはWW2の初期、欧州大陸に米陸軍航空隊を派遣する際、独U
ボートの跳梁する危険な海路を避けて、北大西洋を自力で航空機のフェリー飛
行する方法を取ったものの、こちらはこちらで不安定な気象条件と独側の航法
支援妨害などで遭難する機が続出

カナダやグリーンランドの人里離れた氷の原野、車両の通行も困難なような場
所に不時着した機の搭乗員さん達を救う、最も優れた救出手段は犬ぞりチーム
の派遣である…という結論が出されたそうなんですが、派遣と救出を迅速化す
るために、犬を含めて救出隊を空挺投下する訓練が始められたんですとか
92無題Name名無し 25/06/13(金)16:08:39 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565969そうだねx4
    1749798519633.jpg-(322222 B)
322222 B
P-38「ライトニング」双発戦闘機の戦記など読んでいますと、エゲレスへのフェ
リー飛行の際、天候悪化などで誘導役のB-17重爆もろとも編隊全機が不時着、
数日後に到着した犬そり隊に救助された…なんて話が実際出てくるんですが、
これらの「パラドッグ」による救出チームは幾度となく不時着した乗組員の元
へ食料や衣料品を届け、救出用船舶の待機する海岸まで誘導するという重要な
任務をこなし、その過程で軍犬用のパラシュート機材の開発や運用ノウハウも
洗練されていった、ということのようです

更に戦闘中敵地に脱出降下したパイロットさんの元に訓練された軍犬を降下さ
せ、味方の確保する安全地帯までの案内役にする…なんて構想の元に訓練され
た犬もいたようなんですが、こちらは欧州・太平洋共に実践投入する場と機会
が乏しかったらしく、結局運用されずに終わっているんですとか

コレなんかは案外昨今、無人の小型ドローンなんかを利用すれば、実現できそ
うなアイデアかもしれませんですねえ…
93無題Name名無し 25/06/13(金)16:13:01 IP:122.132.*(mesh.ad.jp)No.565970そうだねx4
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643354 B
余談ですが、1962年発行の日本の週刊誌「新週刊」に掲載されたコラムでも、
前述の「ギジェット」嬢が「立川空挺隊の紅一点」として紹介されていたり
するんですが、この「ミス・パラシュート犬」の師匠はケネス・ヤング=サ
ンという隊員さんで、
「特別の愛情をかけて─ほとんど自分の愛人のように何やかやと面倒を見て」
おり、いざ降下の際はヤング=サンがギジェット嬢を抱いて飛び出し、自分
のパラシュートが開いた時点で放出
お互い空中で顔を見合わせながら降下、地上に降り立つと走り寄って装具を
外してやる…という仲睦まじい訓練光景が紹介されているんですが、そんなギ
ジェット嬢もお年頃、時々夜間の無断外出を繰り返すようになって皆を心配
させたそうなんですが、ほどなくお腹が大きくなって、やがて7匹のかわいい
子犬を生んだそうです

ミス・ギジェットからミセス・ギジェットに変わった、という記事なんです
が、ヤング=サンの脳のダメージがちょっと気になるところではありましたり…
94無題Name名無し 25/06/14(土)07:37:32 IP:1.75.*(spmode.ne.jp)No.565982そうだねx2
「お、俺というものがありながら・・・こ、このメス犬があっ!」
「いや、実際犬ですけど」
95無題Name名無し 25/06/14(土)09:55:29 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565983そうだねx2
    1749862529836.jpg-(40651 B)
40651 B
>「パラドッグ」の運用
犬の空挺降下に先鞭をつけたのはソ連軍のようで、昭和12年には赤軍演習における犬のデサントが世界へ向けて報じられます。
それを真似たのかは知りませんが、日本陸軍落下傘部隊も唐瀬原降下場で軍用犬のパラシュート降下をテスト。後に義烈空挺隊員となる和田伍郎氏(搭乗の熊倉少尉機が不時着生還)の証言では「一度目は跳下したが二度目は拒否」という結果だったとか何とか。
画像は朝鮮戦争に従軍した、日本生れの米軍パラレスキュー部隊マスコット犬「DOUZO(どうぞ)」
96無題Name名無し 25/06/14(土)09:58:00 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565984そうだねx3
>最も優れた救出手段は犬ぞりチームの派遣である
北国で活用されていた犬橇部隊ですが、かつては日本にも存在していました。
ヤクート独立運動家・ヴィノクーロフの構想による「北サハリンをソ連から奪取するための犬橇部隊」は、特務機関が樺太先住民族で編成した国境遊撃部隊、同じく日本軍のトナカイ橇・犬橇混成部隊として実現。しかし、いずれも南樺太で待機状態のまま敗戦を迎えます。
戦後も樺太に残留した犬橇部隊員はソ連側に逮捕された一方、北海道への引揚げ後に南極観測隊の稚内犬橇訓練所で指導にあたった隊員もいました。
97無題Name名無し 25/06/14(土)10:05:06 IP:218.219.*(bbiq.jp)No.565985そうだねx2
    1749863106502.jpg-(43358 B)
43358 B
これらカラフト犬の軍事利用は大正時代のシベリア出兵に始まり、大正10年には陸軍歩兵学校が「四郎」「九郎」を試験しています。結果は「輓曳能力に優れるものの暑さに弱い」」という評価で、汎用性に勝るシェパードが主力軍用犬種に指定されました。
彼らにとって日本の夏は暑過ぎたのです。
涼しい青森に配備された海軍カラフト犬ですら熱中症に悩まされ、活躍の場は南樺太、千島、道北エリア限定。……という感じで、軍用カラフト犬は地味な存在でした。
画像は陸軍歩兵学校でテスト中の四郎(先頭)。「日中戦争における運搬犬の写真」という解説も見かけますが、撮影地は大正時代の千葉県です。

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